糖質制限を止めた直後のリブレ値と穿刺血糖値には、計測値に大きな乖離差が見られました。リブレ値が高く出て、穿刺血糖値が低く出るのが常でした。耐糖能が低下し、インスリン抵抗性が高くなっていたことが原因では?と思われます。しかし、糖質リハビリを1年間実施した結果、穿刺による血糖値とリブレ値との乖離差について、ほぼ数値に差が見られなくなりました。「耐糖能低下が改善された」状態ではないかと考えています。
- 糖質リハビリを開始して記録を始めた頃(2018年1月)
- 乖離差が大きい時は30以上の値を示すことも
- リブレ値が高くなるだけでなく反応性低血糖も頻繁に起こしていた
- 糖質リハビリ開始から約6か月後(2018年7月)
- 糖質リハビリの開始から約1年2か月後(2019年3月)
- 糖質制限を推す医師の中には誤差だという人もいた
糖質リハビリを開始して記録を始めた頃(2018年1月)
糖質制限を止めてから間もなく血糖値測定器を購入し、自身で穿刺による血糖値測定を行っていましたが、なかなか正確な血糖値データを計測することは難しい状態でした。
食前・食後30分・食後60分・食後90分の4回程度の計測では、本当の血糖値のピーク値は解りません。30分毎の計測の間にピークが来ている事もかんがえられるからです。
そこでそれまで使っていた2017年秋に購入して使っていた「フリースタイルプレシジョン・ネオ」とは別に、2018年に入ってからはフリースタイルリブレを購入し、糖濃度を計測することにしました。それからは連続した血糖値の計測を可視化出来るようになり、自身の血糖値の正確なピーク値を知ることが出来るようになりました。
上の表はリブレでの計測を始めた頃のデータです。(スタンダード糖質制限を約1年、その後に厳しい糖質制限を半年実施。その後厳しい糖質制限を止め、徐々に糖質量を増やしつつある頃です)
この日の夜のデータを振り返って見ると、穿刺血糖値とリブレ値の乖離差に「ある傾向が見られるな」と思うことが出てきました。
夜のデータを拡大したものです。*(アスタリスク)が付いている値は、穿刺血糖値になります。私は時々、穿刺血糖値とリブレ値の乖離差をチェックするため、時折、食事時に数回の穿刺計測を行っています。(穿刺血糖値とは、指先からの血液による血糖値測定です)
数値を見ると、リブレ値は高いのに、穿刺血糖値は低いことが解ります。大きい差がある時だと50近いものもあります。具体的にはリブレ値は食後最高値160ほどを示しているのに、実際の血糖値は一番高い時で130程しかありません。この頃はまだ大量の糖質摂取を控えて、セーブしながら糖質摂取をしていました。その状態では、常に穿刺血糖値よりも、リブレ値の方が高いのです。
乖離差が大きい時は30以上の値を示すことも
こちらも同じ時期の数値。穿刺血糖値よりリブレ値の方が高いことが解ります。(縦1行の数1時間の内に20回のセンサー計測を記録しています)20以上の乖離差が発生している時もあります。全体的に穿刺血糖値より、リブレ値の方が高く出ています。
リブレ値と穿刺血糖値は、そもそも全く質のことなる糖濃度を計測していますから、ぴったり同じになることは難しいかと思われます。乖離差の推奨値はおおよそ10以内といわれています。しかし、10程度の差の時と、20~40の差が発生していることで、グルコースがが細胞内にスムーズに取り込まれている状態と、細胞内に上手く取り込まれずに間質液内で糖が増え、取り込みが停滞している状態が発生しているのではないかと思われます。
※リブレ値は細胞間の間質液内の糖濃度を計測しています
こちらも同じ時期。乖離差はまだ小さいですが、やはりリブレ値の方が穿刺血糖値よりも高く出ています。
リブレ値が高くなるだけでなく反応性低血糖も頻繁に起こしていた
また、耐糖能の悪さは、リブレ値と穿刺血糖値の乖離差だけでなく、食後高血糖を頻繁に発生させ、その後の反応性低血糖をもよく起こしていました。少しの糖質摂取でも耐糖能低下があるために高血糖を起こしてしまいます。その高血糖になった状態から血糖値を下げるためにインスリンが大量分泌されるのです。しかし、一気に大量分泌されてしまった為に、血糖値が普段の空腹時血糖値よりも下がってしまいます。これが一般的に機能性低血糖を起こす機序となります。
この頃は普通の食事(特に糖質だけを摂取するような食事ではなく、この頃はまだでんぷん質はほぼ摂っておらず、単糖類中心の糖質摂取で、でんぷん質を摂る場合はかなり少ない量にし、脂質たんぱく質も一緒に摂る、通常の1人前量の食事)でもリブレ値が180~200までなることも、さほど珍しいことではありませんでした。(今から思うと本当に恐ろしいことですが💦)
糖質リハビリ開始から約6か月後(2018年7月)
糖質リハビリの記録を始めて約半年経った頃。リブレ値=穿刺血糖値となることが増えてきました。乖離差がほぼない状態です。糖質を徐々に摂取するようになり、耐糖能低下も徐々に回復しつつある状態になってきました。
この時点で糖質制限を止めてから半年からが経過。この頃になると、糖質摂取量も1日120g-150g程度摂れるようになっていました。1食当たり50g程度の糖質量を目安にしていましたが、1食でそれくらいの量を摂取しても、リブレ値は140以内で収まる日も増えるようになっていました。
糖質リハビリの開始から約1年2か月後(2019年3月)
この頃になると乖離差は大きくても10前後で収まるようになってきました。耐糖能低下が改善されると、リブレ値と穿刺血糖値の差は大きく開かないようになってきました。
ブルーライン(水色の帯)は70-140で設定しているのですが、暴飲暴食さえしなければ、ブルーライン内にほぼ収まるようになり、反応性低血糖を起こすこともほぼなくなりました。
糖質制限を推す医師の中には誤差だという人もいた
2018年。非糖尿病である私が、厳しい糖質制限により耐糖能が低下し、まるで糖尿病患者の様に少しの糖質摂取で高血糖を起こしたり、高血糖を起こすことによって起こる反応性低血糖で体に異常を来した。
その頃、栄養療法で受診する自身の患者の中に、私と同じような症状に苦しむ方が増えていることに疑問を持ち、自身でもリブレを着け、糖質制限と血糖値の関係性を調べている医師と偶然にも出会うことが出来た。
2017年から自費でも購入出来るようになったフリースタイルリブレを着け、従来の穿刺血糖値との関係も合わせて調べ始めた時、糖質制限を推す医師の中にはそのリブレ値と穿刺血糖値の乖離差を「センサーの誤差だ」「体質による個体差だ」という医師もいた。中には「リブレ値と穿刺血糖値を比較することに意味が無い」というような医療関係者もいた。
しかし、糖質制限を中止した後に、長くリブレを着け、機会あるごとにリブレ値と穿刺血糖値を合わせて計測することで、耐糖能低下が徐々に改善されていることをグラフは教えてくれた。
2020年の今では、センサーによる当たりはずれはたまにあるが、基本的にはリブレ値=穿刺血糖値になった。少々食べても食後血糖値のピークは、140あたりで収まるようになった。血液内に取り込まれたグルコースは、スムーズに間質液内に取り込まれ、間質液内に入ったグルコースも、滞りなく細胞内に入るようになったのだ。
リブレと付き合い始めて3年になろうとしている。しみじみフリースタイルリブレの凄さを実感する。血液検査のような細かい数値こそは出ないが、血液検査では調べることが難しい耐糖能低下の改善を、数値とグラフで教えてくれたのです。