今から約1年半前。私は長年脱臼状態にあった右側の股関節の手術を受け、人工股関節になりました。53歳の時です。術後から現在までの1年半、どのように日常生活(QOL)が改善されたかをご紹介したいと思います。
変形性股関節症を治すために人工股関節へ
長く痛み止めを飲みながら、だましだまし生活していた変形性股関節症。仕事中に重い荷物を持ち運びしたのをきっかけに、一気に症状が悪化。近くのかかりつけ医にリハビリに通いながらの、杖の生活に。「あれ?カクカク音がする?」と股関節部の違和感を感じ始めてから4年。いよいよ人工股関節置換術を受けることになりました。
杖を使うようになってからは、家族旅行も、愛犬の散歩も、友達との飲み会も、デパートへの買い物にも出かけられなくなっていました。子どもたちにも、色々迷惑を掛けていたと思います。家事でもできないことが増えてきた上に、子どもの学校生活にも支障が出ました。「ごめん、授業参観には行けないわ」と、徒歩での学校までの行き帰りや、見学中に長時間立ちっぱなしになる行事等には参加できなくなってしまいました。
いよいよ、体への負担にも限界が来ていて、痛みで目が覚めたり、一晩中眠れない日も増え、寝返りさえ打てない状態に。職場の上司に相談し、アルバイトという立場ながらも、1ヶ月間の長期のお休みをいただくことができ、手術を受ける事になりました。
無事成功するも、術後1ヶ月に妹が他界
無事手術が成功し、私が退院してちょうど1ヶ月。入院中もずっと私の体を気遣ってくれていた妹でしたが、実は妹は長年闘病生活を送っていて、その頃には抗がん剤の副作用が続いており、大変な状態になっていました。私が退院した直後、ついに後3か月との余命宣告を受けました。しかし、すぐに容態は急変し、結局、宣告を受けた1ヶ月後に他界してしまいました。
私が手術に踏み切ったのは、妹の事もありました。「余り残された時間は少ないかもしれない」と妹から聞かされたのは、今思えば亡くなる4か月前のことでした。
残りの時間を一緒に過ごしたい、妹と一緒に旅行に行ったり、食事に行ったりしたい。妹が行きたいところに連れて行ってあげたい、との思いから、長くためらっていた手術に踏み切ることに。手術を決意したのが7月。それからすぐに取ってもらえた手術日は10月でした。しかし、まさか11月に妹が亡くなるとは夢にも思っていませんでした。
退院直後に告知を受けた妹から連絡をもらい、すぐさま杖をつきながら電車を乗り継ぎ、実家に飛んで帰ったのを覚えています。術後、数分の距離を歩くのにも、冷や汗をかきながら1時間以上かかっていましたが、そんなことは忘れてしまうくらい必死で実家に向かったのが昨日のことのようです。
極度の緊張と興奮もあったのから、足の痛みについての記憶が全く無いまま、お通夜、葬儀、諸手続き、四十九日と過ぎ、気がつけばクリスマスもお正月も終わっていました。
退院後、2週間ほど傷の痛み止めは飲んでいましたが、それ以降は薬も飲まずに過ごしていました。仕事と家事と育児と妹の仕事関連の残務処理で、痛みを感じる余裕もないまま過ごしていました。
日常生活に戻れた幸せを実感
妹が亡くなったこともあり、仕事を続けながらの家事と育児、独居になってしまった母の今後の生活の計画と、ばたばたな毎日を送っていました。
しかし、人工股関節は問題なく機能してくれ、仕事や買い物にも問題なく出掛けられ、杖を使う前の生活を取り戻し、1人で自由に動けるようになりました。「本当に手術をしてよかった」と実感しました。普通に歩けることがこんなにありがたいこととは!と、身に染みました。
行動制限のない生活を数年ぶりに取り戻し、精神的にも【老女のような生活を送るだけなのか】という不安もなくなり、妹の分まで前向きに生きようという、エネルギーを再び取り戻すことができました。身体的な回復だけでなく、精神的にも回復できたと実感しています。
好きな時に歩いて買い物に行く。お店の中を自由に歩いて見て回れる。ゆっくりでしたが、階段の上り下りも問題なくできました。日常生活では【走る・飛ぶ】以外は全て問題なくできました。母のみまもり介護もスタートしましたが、病院や買い物への同行も問題なく出来るようになりました。
杖生活で落ちた筋力を取り戻すために
手術から約半年が経過した頃。日常生活は問題なく過ごせるようになりましたが、それまで脱臼状態で長年生活していたこともあり、足の長さが手術によって揃うと、今度は逆に足が長くなったように感じ、体のバランスの悪さを実感するようになりました。何もない平地でつまづいたり、階段の連続した昇りではリズムを崩しつまづきそうになったり。年齢もあるかと思いますが、長年の杖生活で、私の筋力はすっかり落ちていました。
このままではいけないと、筋トレを始めようと決意したものの、股関節に負担がかかってしまったら…との思いもあり、パーソナルジムに通うことにしました。
いろいろ探して入会したセミパーソナルジムは、ダイエットに特化した女性専用ジム。カウンセリングの際に「減量も目標ではあるが、まずは人工股関節に負担のかからないトレーニングを受けたい」との旨を伝え、週に1-2回、1回50分のトレーニングを受けることになりました。
セミパーソナルのトレーニングは、母と叔母の介護の合間を見て、週に1-2回継続して通っています。正直、介護のストレスもかなりあって、ついつい食べてしまい(笑)やせることは全くできていないのですが(4キロくらい落ちただけ)、筋力はかなり取り戻せたと思います。
スクワットでは20キロ以上の負荷をかけて出来るようになり、それまで全然できなかったプランクも10キロの重りを乗せて1分程度、出来るようになりました。
大腿部だけでなく、体幹トレーニングを中心にメニューを組んでもらえたことで、体全体のバランスが良くなり、平地でつまづいたり、階段で転ぶようなことがなくなりました。
術後1年半の現在の人工股関節の状態は良好
USJの年間パスポートを買い、パークインした日には1万~1万5000歩は歩けるようになり、1時間近く立ったまま、ライドの列に並ぶこともできました。
また、2024年の春、香川県の金毘羅宮へのお参りでは、階段全てを自力で杖なしで登りきることが出来ました。半年ごとの定期健診でも問題なく、とても快適に生活することが出来ています。
痛みがなくなり、股関節部への負担を心配することもなくなった今、手術したことを忘れるくらいに自由に動き回ることが出来ています。
もし、私と同年代の方で、手術をためらっている方がおられたら、ぜひ早い時期の手術をおすすめしたいと思っています。実際、病院に入院した際も、手術されている方は60-80代の方が多く、50代はほぼいませんでした。昔はパーツの寿命が短く、再手術を避けるために痛くても長く我慢していたのでは?と思います。しかし今はパーツ素材の進化から耐久年数も延び、私も将来、再手術はなしでいけるのでは?という思いから、早期の手術を決断しました。
先の投稿で紹介している「病院選び」や「術式」なども参考になれば幸いです。