糖質制限を始めて1年が経過した頃。体重がびくとも落ちなくなったため「より厳しい糖質制限」に変更し、糖質量をさらに減らすようになりました。食事も1日3食から1~2食となり、家族と一緒の外食も控える様に。しかし糖質摂取量は今までよりも更に減らしているのに、体重は全く落ちません。しかもそれだけでなく、髪や肌の調子も悪くなり、たまの糖質摂取では、猛烈な眠気に襲われるようになっていました。
職場の健康診断でコレステロール値が高値に
体重は18キロも減り、身体のあちこちの痛みや花粉症が改善され、夜もよく眠れるようになりました。市販のサイズの洋服も着られるようになり、私は「糖質制限で体調が良くなった」と喜んでいました。
しかし、職場の健康診断での血液検査結果を手にして驚きます。体重は18キロ痩せて改善されたものの、78キロの時には基準値内の収まっていたいた総コレステロール値とLDLコレステロール値が基準値を超えてしまっていたのです。
その当時はタンパク質もちゃんと計算して摂り、脂質はオメガ3を意識した良質な油も摂取していました。しっかり1日に必要な栄養素の補給は出来ているはずなのに?と。
また、LDL高値と同時に気になったのが、中性脂肪が基準値内下限をかなり下回っていることと、GOT・GPTの肝機能数値が低値になっていたことでした。
栄養学の本も自分なりに読んで、ビタミンやミネラル摂取にも気を付けていました。糖質量を減らすことで、1日の食事回数が減ったことについては、食事で足りない栄養素については、プロテインやサプリメントで補っていました。
タンパク質については、厚生労働省が推奨する「1日60g」を目標に摂取するようにしていました。(日本人の食事摂取基準より)肉類では、牛豚鶏をまんべんなく摂るようにし、レバーも食べていました。また、肉だけではなく、魚や貝類なども積極的に食べるようにしていました。他にも、卵や乳製品・大豆・大豆加工品もまんべんなく摂るように心がけていました。
脂質はサラダ油やマーガリンなど、トランス脂肪酸を含むものを出来るだけ避けるようにし、外食やお惣菜購入の際にも揚げ物は避けるようにしていました。料理にはオリーブオイルやえごま油やアマニ油を使うようにし、MCTオイルやバターも意識して摂取。
なのに、血液検査結果ではそれまでになかった基準値を下回る低値があったり、反対に基準値を上回る高値が出てしまっていたのです。
おかしなものです、糖質制限を始める前のご飯パン麺食べ放題、お菓子揚げ物食べ放題の時の方が全て基準値内に収まっていたのですから…。
そんな不安の原因を探すため、当時、フェイスブックで意見交換が盛んになっていた、糖質制限関連のグループの投稿を検索する日々が続きました。フェイスブックにはグループといわれる公開・非公開の集まりがたくさんあります。中には現役の医師が多く参加するグループもあります。私はそれらにいくつか参加し、参加者の投稿やその回答・コメントなどを参考にしていました。
髪や肌の状態が悪い女性を多く見るように
SNSを検索するその中で、ふと気になったのが、厳しい糖質制限をされていた女性たち、つまり「断糖」に近い食事をされている女性の方々の投稿記事でした。彼女たちの写真を拝見して目についたのが彼女たちの自撮りなどの写真でした。明らかに「薄毛」と思われるような方が何人もいらっしゃったのです…。
その事が気になり始めてからは、その女性たちの過去の投稿や掲載された写真やコメントを遡って探すようになってしまいました。もう、気になって気になって仕方ない(笑)
写真を載せられていない方もおられましたが、過去の写真を載せられていた方の中には、明らかに糖質制限前と糖質制限を始めてからの写真の「見た目年齢」の違いに驚きを隠せませんでした。
ふわっとした分け目のないヘアスタイルで若々しかった方が、明らかに生え際が後退し、分け目がくっきりついている。ボリュームがなくなりペタンとしたヘアスタイルになっていて、かなり老けたように見えました。
ご本人は「糖質制限で体調良く、元気になった!」と喜びの言葉を投稿されていましたが、他人から見れば、1年前の写真と比べたその方の現在の風貌は、明らかに5歳以上、下手すれば10歳以上老けて見えるのです。
そういう私自身においても、抜け毛が多いなと感じることが増え、入浴時に髪を洗う度にごっそり抜けてびっくりする時がありました。「季節の変わり目だからかな…」と思ったりはしたのですが、ハリやコシもなくなり、ロングヘアだと分け目が目立つことから、ショートヘアにしてパーマをかけたりしていました。
また、髪だけではなく、肌の質感の違いが顕著に出ている方もおられました。顔色が悪くどんよりしたトーンになり、シミや小じわも目立つ感じに。痩せた分、しぼむような顔の表情に、老けを感じずにはおれませんでした。
体重が減らないことから始めたメガビタミン
髪も肌も状態が悪くなり、糖質摂取量をさらに減らしても体重は全く落ちず。しかも、たまの糖質摂取では、猛烈な眠気に襲われるように。また血液検査では、低過ぎる中性脂肪と、肝臓数値の低下、高いLDLコレステロールが現れ始めます。
ちょうどその頃、SNS界隈では、多くの人が基準摂取推奨量以上に複数サプリメントを大量に摂取する「メガビタミン」や、貯蔵鉄を多くするために鉄剤を多く飲む人が増えていました。
糖質制限により体重の減少や体の痛みは無くなったものの、さらなる糖質摂取の制限では、別の不調が次々に現れ始めた私。
今の状態をなんとかしたいと思った私は、今度は複数の大量のサプリメントや鉄剤の摂取を始めます。
もしかすると、新たな不調の出現は、糖質制限を厳しくするために、食事回数を減らしたことで、栄養不足に陥ったからではないか?と考えたのです。
メガビタミンを始めた私は、iherb(アイハーブ)という海外サイトで外国産のサプリメントを大量に購入するようになりました。国産のサプリメントでは栄養素の含有量が少なく、添加物が多いということから、アメリカ産のサプリメントを購入していました。
ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEなどを始め、鉄、マグネシウム、オメガ3、亜鉛など。その他にも、カルシウム、オリーブリーフ、プロポリスなども。
その摂取量については、国産サプリで勧められている1日の摂取推奨量を上回る、何倍もの量を飲んでいました。
水溶性ビタミンなら身体に貯まることはない、不要な分は自然排出されるから、飲み過ぎて健康被害にあうことはない、という口コミを信じていました。何故なら、この大量のサプリメント摂取についても、多くの医師たちが推奨していたからです。
しかし、厳しい糖質制限を行いながら並行して行ったメガビタミンでしたが、4か月ほど続けた結果、結局、私はメガビタミンも多量の鉄剤摂取も中止しました。
大量の摂取を行って受けた血液検査でしたが、その結果、何も数値は変わりませんでした。月に何千円分もの大量のビタミン剤を飲んでも、なんら血液検査には反映されなかったのです。厳しい糖質制限後に出ていた血液検査での基準値を超えたり下回ったりした値は改善されませんでした。
私の場合、何千円分もの栄養素らは、全て吸収されることなく、トイレに流されていったということか…と。そうしてメガビタミンや鉄剤を止めるに至りました。
またその頃、半年ほど前に一部の間で流行の兆しを見せた「糖質制限を行う人たちの間で話題になっていたメガビタミンや鉄剤のその効果」については、だんだんと副作用や悪い影響などを取り上げた論文や研究結果などを見かけるようになってきていました。
SNSでも、私のように何も結果が得られなかった方を多く見かけるようになり、中にはかなり厳しく副作用を訴える方をみたりするようになりました。
受けたい検査を受けさせてもらえなかった
SNSで見た「糖質制限やメガビタミンを実行している人たちの中に見られる、自称素晴らしいという体感」と「不調を起こしていそうな外見」の見た目のギャップや、自身の「少量の糖質摂取で、猛烈な眠気を起こす」「糖質制限を始める前よりも血液検査結果が悪くなった」ことにだんだんと不安を感じるようになりました。
SNSでは元々が肥満傾向で不健康そうだった方については、太っていた時と比べれば標準体型になってお若く見えるようになり、お元気そうに見える方が沢山おられました。
しかし元々がそんなに太ってもいない「標準体型」だった方が、糖質制限により「痩せ型」になり、いくら「体感的に好調です!」という投稿を見ても、不調を伴っているような外見であることに、どうしても「健康的なれる」とは信じられなくなっていたのです。
その不安を解消したいと、私は多くの医師による「糖質制限のすばらしさ」を書き連ねた医師たちの著書を何冊も購入し読みましたが、その頃になると「良いことばかりを全面に書いている著書であり、副作用や気をつけるべきことはほぼ書かれていない」ことに、さらなる不安を感じるようになります。実際には猛烈な眠気や髪肌の不調について書かれている著書は一冊もありませんでした。
糖質制限をしても不調。
それを改善させるべきメガビタミンをしても変化なし。
何をしても不安は消せないところまで来ていました。
そんな私は、近隣の個人の内科医院2軒を訪ね「血液検査を受けたい」と受診します。一般的な健診の血液検査ではなく、「フェリチン(貯蔵鉄)やケトン体、インスリン量を調べたい」と申し出ます。
SNSで集めた情報から独学で照合すると、不調の原因はこれらにあるのでは?と思っていたのです。
当時から私はFacebookにおいて、糖質制限やメガビタミンを推奨する医師や医療関係者らがたくさん集まるグループに参加して情報を集めていました。
何冊も著書を出している医師らをフォローしてきて、それらからたくさんの情報を得ることが出来ていました。
詳細な血液検査を受けたいと話すと近所の医師たちは「何を目的に調べるのか?」「それを知ってどうするのか?」と執拗に私に質問しました。
「糖質制限を実施しているので、糖新生がちゃんと出来ているかどうか、ケトン体を調べたい」
「糖質制限で血糖値上昇が抑えられている状態での、インスリン量を測りたい」
「女性の不調は貯蔵鉄不足からというのを知ったのでフェリチン量を調べたい」
と正直に話しましたが、結果的には2軒ともに門前払いに近い状態で断られてしまいます。
「ネットで何を調べているのか解っていて、そんなものを調べたいと言っているのか?」
「糖尿病でもないのにそんなものを測ってどうするんだ」
「医者でもないくせに、知った風なことを言われては困る」
など、かなり厳しい口調で怪訝な顔をされたことは今でも忘れません。(←偉そうに言われてちょっと恨んでる)
今思えば、ちゃんとした理由もなく断られて追い返されているのがよく解りますがね(笑)
確かに私が希望した検査項目は保険診療にはなりませんが、自由診療の範囲であれば調べられるはずです。しかも全て血液検査の採血のみで調べられる項目ですので、特別な検査が必要と言うわけではなく、生化学分析所(血液検査会社)に出せば済むことです。
私は「自費で」と申し出ていますが、今思えば、保険診療の請求レセプトと自由診療の請求を分けて処理するのが面倒くさかったのではないか?と考えます。
もしくは、自由診療をするという考えは一切なく、傷病名を付けられない様な項目は、さらさら調べる気もないということなのでしょうか。
あと考えられるのは、糖質制限という症状に関する知識を自身が持ち合わせておらず、それに私がいろいろ質問でもして来れば、答えられないとでもいうことだったのでしょうか。
ひとりの医師は大変ご立腹な様子で「ネットのいうことを信用してどうする?ネットがあんたは病気だと言えば、あんたは信じるのか?!」とまで言われましたから…。(私と同年代の、近隣の有名私大病院勤務から独立開業している地元出身の医師です)
当時はまだ私も、医師に言い返されたときに説明したり反論したりするまでの知識は持ち合わせていなかったので、言われるがまま、すごすごと帰ってきました。
今思えば、地元医師会もしくは保健所に「対応の態度に関するクレーム」を入れてもよさそうな言われ方をされましたが、当時はそこまでする勇気もなく…。
今では糖質制限に関する知識を持ち合わせている医師が増えている可能性はありますが、2016年の時点では、まだまだ少ないようすでした。
自らに起こっている様々な不調の原因を調べたい。しかし、そうは思っても、その時点では調べることは出来ない環境だったのです。
その後、フェイスブックで、ある医師の投稿が気になるようになります。当時、糖質制限を推奨する意思が多かった中に、厳しい糖質制限は健常者には向かないのではないか?との意見を持った医師でした。後にこのクリニックを受診し、その後の私の体調不良を改善させるとても重要な出会いとなりました。