乱れた食習慣を見直したい、増えた体重を適正体重に戻したい、不規則な生活での不調が続いている…そんな、今のままではいけない!と食生活を見直すとき、身体不調なままで新しい食事法や健康法を始めても、はたして悪い影響は起こらないのでしょうか?
- まずは不摂生を改めることから始める
- 今の「やり過ぎる」状況を見直す
- ①肥満に多い食べ過ぎ飲み過ぎ
- ②減らし過ぎを見直す
- ③偏り過ぎ考え過ぎをやめる
- ④考え過ぎ悩み過ぎの傾向を自ら受け入れる
- ⑤疲れ過ぎ・睡眠不足の回避
- ⑥運動不足の解消
- 急がば回れで不調を整える
まずは不摂生を改めることから始める
新しい食事法や健康法を始めようと考えるきっかけとしては、これまでの乱れた食習慣を見直したいとして、新たな習慣(ルール)を始めようとされる方が多いのでは?と思います。
しかし現時点の不調な身体のまま、すぐさま新しい食事法に取り組んでも大丈夫なのでしょうか?
●お腹いっぱい苦しくなるまで食べてしまう
●仕事が忙しく疲労が蓄積、睡眠不足
●食べたらすぐ横になり寝てしまう、運動不足
●外食続き、宴会続き、間食が多くなっている
●インスタントやコンビニ食など加工食品続き
●ストレス過多、イライラ続き、感情が不安定
●下痢、便秘、胃腸トラブル続き
このような不調を来している状態から新しい食事法や健康法をスタートさせても、その効果がよく解らなかったり、十分な効果が得られなったりするのではないでしょうか?また逆に、更に体調を悪くしてしまう可能性も考えられる可能性も高く、せっかくの新しい取り組みも、無駄になってしまうことがあるのではないでしょうか?
それらのリスクを極力回避するためには、まず今の「過ぎる」状況を見直し改めることから始めることが大切ではないでしょうか?
マイナスからのスタートではなく、一旦不調をリセットし、ゼロ地点に戻してからのスタートが必要ではないかと考えます。
今の「やり過ぎる」状況を見直す
食生活の乱れの理由として考えられる多くの理由が、今現在の「過ぎる」状況にあること、ではないでしょうか。
①食べ過ぎ
②減らし過ぎ
③偏り過ぎ
④考え過ぎ
⑤疲れ過ぎ・睡眠不足過ぎ
⑥運動不足過ぎ
などが、今の不調の原因として起こってはいないでしょうか。
①肥満に多い食べ過ぎ飲み過ぎ
ジャンクフードといわれるものであっても、たまに間食として食べたり、お付き合いや気のおける仲間との楽しい食事として食べるのであれば、それはけっして悪い食事ではないと考えます。
しかし、たまの間食や1食の食事として食べるのではなく、「間食なのに1食に相当する量を食べてしまう(過食)」「1日あたりの間食の回数が多い(頻食)」「間食に高カロリーなものばかりを食べてしまう」「自炊食より外食回数の方がはるかに多い」という状態が続くのであれば、それは「過ぎる」食べ過ぎに相当するといえると思います。
また、家に間食のための菓子類を買い置きしていたり、すぐ食べれるもの(飴やチョコやクッキーなど)を常に持ち歩いていたり(低血糖対策などで携行される方を除いて)、お腹が減ったと感じたら、前食からの空き時間が短くてもつい食べてしまうような習慣なども、食べ過ぎを招きやすい状態にあると言えます。
また、甘い飲み物を習慣化して飲んでしまうことも「過ぎる」飲み過ぎに陥りやすい状態だと言えるでしょう。
ごくごくと口当たり良く早く飲めてしまう甘い飲料は、主菜や主食のように噛んで味わって食べるという満足度は低いのに、それらよりも無意識のうちに糖分を多く摂ってしまう可能性があると考えられます。
最近コンビニに多く取り揃えられているフルーツ系の缶チューハイなどのアルコール飲料についても、口当たりを良くするためにフルーツ果汁や果糖ぶどう糖液糖類を多く含む商品が多くなっています。
それがたとえ「人工甘味料」や「代替え砂糖」などの糖質量の低いものであっても、無糖の飲み物が飲めない、美味しく感じない、という場合は、味覚に障害を起こしていることも想定され、欲求通りに飲んでも脳が満足出来ていない状態にあると考えます。
まずは食べ過ぎ・飲み過ぎの「過ぎる」状態を整えましょう。
①自宅や職場での食べ物の買い置き品の質や量などを見直す(間食の見直し)
②加工食品を多く食べ過ぎていないか(味が濃い、脂質糖質が多すぎる物は避ける、食品添加物などが多いものを避ける)
③テイクアウト惣菜や外食の頻度を考え、食べる量が適正かどうか見直す(だらだら食いを避ける、つい食べ過ぎてしまう外食を避け自炊する)
④甘い飲み物から無糖の飲み物へ出来る範囲で変えていく
⑤アルコール類の深酒や常飲を止め、適量摂取を心がける
②減らし過ぎを見直す
●ストレスなどで短期間に太ってしまった体重を短期間で落としたい
●妊娠などで体型が変わり始めた際に体重を増加させたくない
●カロリー制限や糖質制限を始めたことがきっかけで太ることが怖くなってしまった
など、生活習慣を大きく変えるきっかけに直面したことで変わってしまった生活習慣を新しい食事法や健康法で修正しよう、とするような場合はどうでしょう?
特にそれらを食事や栄養素の摂取量を大幅に減らす、厳しく制限する、という場合。
本人は「元の状態に戻そうとしているだけ」と認識していても、実際は大きく変わってしまった食生活習慣を、また更に大きく変化させようとしている、というケースがあります。
ストレス、妊娠、ダイエットなどで負担がかり崩れてしまったホルモンバランスや体調を、更に大きく新たな食事法で変えてしまうことは、女性の場合特に月経不順や月経停止、不妊、甲状腺機能の低下などが起こる可能性も高くなることから、身体に大きな負担を抱えることにつながるのでは?と考えます。
無理に新たな食生活を大きく変えることは身体にに大きな負担を抱えることなるだけでなく、過食症や拒食症、うつや虚弱など、精神面の負担につながることも考えられます。
一旦大きな不調を抱えてしまうと、元に戻すには長期的な期間を要することも珍しくありません。
「増やし過ぎる」だけでなく、場合によっては「減らし過ぎる」ことも、不調を招く要因になります。
①ストレスの原因を取り除くことよりも、増えた体重を無理やり減らすことを優先し極端に食事を減らすことは、更なる精神面にストレスを増やす可能性が考えられます。まずは体重を戻すことよりも、ストレスを取り除ける・軽減できる環境造りを。
②妊娠による体重増加や体型の崩れを避けるために、必要以上に食事を減らすことは、母体への影響だけでなく、赤ちゃんの低体重や発育不足を招くことにも。医師から体重増加を制限されている場合は別ですが、胎児の成長に応じた母子共に健康を維持できる量の食事量は必要です。体型の調整等については、産後に取り組むよう切り替えて。
③ダイエットや美容に対して完璧を求める傾向のある方は、その志向がだんだん進行すると摂食食害の域になってしまう恐れも考えられます。外見や容姿に強いこだわりを持つ方はどうしてもそこに大きな価値観を見出しがちになる傾向が見られますが、内面を重要視する人も世にはたくさんいます。
外見や容姿に職業上の制限がある場合を除いて、心身ともに健やかな生活を送るということは、外見や容姿を重視するよりも大切だということに気付いて欲しいと思います。
何事も、まずはその大きく変わってしまった原因となるものと向き合い、自らが認め、受け入れることも大切だと思います。減らす、制限する、という事だけではけっして解決にはつながりません。
一人で抱え込まず、家族や友人、職場環境など、時には周囲の協力者を求め、無理のない範囲での原因解消に取り組むことが大事かと。
まずは原因や要因を受け入れ、その変化に対して一番心身に負担の無い状態まで戻してから、新しい食事法や健康法に取り組むことが大切ではないでしょうか。
③偏り過ぎ考え過ぎをやめる
最近はネットやテレビなどで、ひとつの食材や栄養素だけを極端に多く摂ったり、逆に一つの栄養素を全く摂らないようにするものに注目している人を多く見かけます。
糖質を極端に減らすために逆に多くの脂質をたくさん摂取したり、食事で栄養摂取することを主とせず、大量のサプリメントやプロテインなどを置き換え食のようにされている方などをお見かけします。
しかし、偏った栄養素の極端な摂取や制限は、逆に不調を招く可能性が高いともいわれており、その不調を来している状態から、新たな食事法を更に始めるとなると、それまでの体のリズムを大きく狂わせることにもなりかねません。
また単一栄養素の大量摂取や厳しい厳格な制限状態以外にも、サプリメント(栄養補助食品)の複数同時摂取や日本国内における摂取目標量を超える大量摂取などをされている場合、いきなり止めたり急激に減らしたりすることも、それまでの体のリズムに大きく影響することが可能性が考えられます。
まずは偏った食事の摂り方やその食事に対する大量摂取や厳格な制限などの考え方についても、新しい健康法や食事法を始める前には調整が必要になると考えられます。
①偏った食事は徐々にバランスを考えた食事法に出来る範囲で変えていく
②偏った栄養素やサプリメントの大量摂取をしている場合は、いきなり止めずに徐々に減らしていく
④考え過ぎ悩み過ぎの傾向を自ら受け入れる
今の食事法や健康法が自分に果たしてあっているのか?が心配になり、いろいろ調べて勉強するのは大変良いことだと思うのですが、中には心配し過ぎるあまり、精神的に追い詰められている様な状態になっている方を、ネットなどで時々見かけることがあります。
様々な情報を収集していく中、今の状態でよいのかと心配するあまり、今の自分のかかりつけ医が信用できなくなり、他院を渡り歩いたり(多受診)、また病院に通うことや指導されている投薬を自己判断で止めたり、医師等の診察は一切受けないまま書籍等で勧められている健康法を忠実に実践するようになっている方が、少数派ではありますがいらっしゃるようです。
その結果、不調をますます抱え込んでしまい、体調を急激に悪くされたり、最悪の場合、救急搬送に至ったという方もいらっしゃいました。
持病などがない方であれば、周囲もさほど気にはしないと思いますが、持病を持つ方ほど、その傾向が強いように思われ、とても心配になってしまいます。
たくさんの書籍を読み、海外論文も調べられ、独自の健康法や食事法を実行されるのは自己責任においてのことなので、周囲が意見することは出来ませんが、持病をお持ちの方が標準治療を自己判断で標準治療を止めたり、栄養摂取等において極端な選択や、健康法や食事法を実践されているのを見ると、やはり周囲は心配になるのです。それが家族や身近な人であればなおさらです。
周囲との調和を保ったよりよい人間関係や日常生活を送るためには、独自の健康法や食事法を実践していく場合、自分には考えすぎ・心配し過ぎな傾向があるということを理解し、実践を続ける過程において大きく食事法を変える際には、血液検査や健康診断を受けるなど定期的な健診を受け、身体と相談しあって続けていくことが必要かと思います。
⑤疲れ過ぎ・睡眠不足の回避
仕事や勉強、家事育児などで忙し過ぎて疲れがたまると、栄養を摂っていても吸収出来ていなかったり、上手く代謝出来なくなることがあります。
更に疲労が蓄積してくると睡眠にも影響が出始めます。疲れ過ぎると眠りが浅くなったり、寝ても前の日の疲れが取れなくななることも。
●いつもの時間に起きられなくなる(体内時計の狂い)
●寝ても脳の疲れがとれず勉強や仕事に影響が出始める
●身体のあちこちに痛みを伴う、むくみや寒気を感じる
●五感が正常に機能しない(味覚や嗅覚、聴覚の異常)
●精神的な感情が不安定を来すようになる(落ち込みやイライラ)
と、それは身心から不調を訴える不調のサインです。
私もフリースタイルリブレで時々血糖値を24時間計測しますが、疲労が溜まったり、睡眠不足が続くと耐糖能に大きく影響し、少し食べただけで血糖値が大きく上がったり、逆に寝ている間に低血糖を起こしやすくなっていました。睡眠不足や疲れは、糖代謝に大きく影響があるものと考えています。
そのような状態のまま新しい食事法や健康法を始めても、満足のいく効果は得られないのでは?と考えます。
まずは身体と精神の調子を整え、自律神経の正常化を目標に、疲労に対する休息や睡眠の確保に取り組み、調子が戻ってから取り組んだ方が、早く効果が得られるのではないでしょうか?
⑥運動不足の解消
運動不足は、日常生活を快適に送る上での妨げになることがあります。それらを改善するためには定期的に時間帯などを決めるなどをして、軽い運動負荷をかける様にしましょう。
●通勤や通学など外出時には意識して歩く
●家事や育児で体を動かす、仕事で体を動かす
●ランニングやウォーキング、体操など自宅で体を動かす
●椅子に座りながらや寝転びながら出来る簡単なストレッチを意識して取り入れる
●定期的にジムや運動・体操教室に通う
上記のようなちょっとした心がけも軽い運動負荷を得ることが出来ます。
逆に
●高い運動負荷を要する運動(筋トレなど)に取り組む
●誰かと一緒に通う・実行する
●毎日長時間実行するメニューを作成する
と、短期間で効果を得るために高い運動負荷を得る取り組みを計画しても、今までそのような習慣がなかった方には、長期的に続けることが難しくなったり、誰かがやらなければ自分もやらない、といったような状態になれば、その計画は無駄になってしまうことになることも。運動負荷を上げる場合には、徐々にその段階を上げていくことが大切だと思います。
適度な運動習慣は、体調を整えるのに大きな効果を得ることが出来ると考えます。
①筋肉量の増加・維持・虚弱体質(フレイル)の予防
②運動による適度な疲労感を得ることで、快適な睡眠や適正な食欲につながりやすい
③代謝機能の向上
適度な運動習慣を適度に取り入れた生活を心がけ、週に数回の定期的な中負荷運動と、毎日取り組める簡単な体操や近所を歩くというような低負荷の運動を組み合わせることも大切です。
運動習慣を取り入れることは、不調を整え、健やかな心身を手に入れる近道になると考えています。
急がば回れで不調を整える
食事や運動は一生続けていくものです。だからこそ、1日でも1週間でも早く!と焦る気持ちを優先させるよりも、まずはゆっくり体調を整えてから、新しい食事法や健康法に取り組んでも、その差は決して遅すぎることはないと考えます。
急がば回れ
新しい食事法や健康法に取り組む際には、まずは体調を整えること、生活環境を見直すことから始め、焦らずのんびり、心にゆとりを持って新しい食事法や健康法に取り組んで欲しいなと思います。