アメリカでは何年も前から有名な「ダッシュ食」(食事法)ですが、日本ではまだまだ知名度が低いのが現状。ダッシュ食を実践してみようと、ガイドラインでその食事内容を調べてみると、まず「日本の規格との違い」について考慮が必要では?ということが解ってきました。また日本では手に入りにくい食材もあり、忠実に実践していくには難しい点があることも。そこで私なりに、ではありますが、その違いを調べてみました。
- ダッシュ食のガイドラインを入手
- 1日に摂るべき摂取カロリーについて
- ダッシュ食の栄養摂取目標
- ダッシュ食で目標とする血圧
- ダッシュ食で食べるべきもの
- アメリカの市販の食パンは日本のものより小ぶり
- 野菜と果物は加工精度の低いものを推奨
- 乳製品は無脂肪または低脂肪推奨
- 肉魚類は脂肪の少ないものを選んで
- ナッツは週単位量で表記されています
- 脂質は飽和脂肪酸を控えめに
- 砂糖類は控えめに
- ダッシュ食の内容についての個人的感想
ダッシュ食のガイドラインを入手
DASH DIET(ダッシュダイエット)のガイドラインは、アメリカの国立心肺血液研究所のサイトで無料で手に入れることが出来ます。(もちろん英語版ですが)
ダッシュダイエットについて興味を持った時、その内容を知りたいと、詳しく解説されている本を探したみたのですが、意外にその出版数が少ないことが解りました。よくよく調べてみると、無料でPDFで無料で配布されていたんですよね。だからか!と納得。
それもあり、アメリカの方たちは(英語が解る方も含めて)、わざわざ市販されている解説本は買わずに済むので、レシピ集を買うくらいなのでは?と思います。
ダウンロードはこちらから↓
私は英語が全然だめなので(涙)Google翻訳で調べながら、その内容を見てみました。もし英語解釈が間違っていたらすみません💦
私のつたない自己流訳で良ければ、下記の内容をご覧になっていただけたらと思います。
1日に摂るべき摂取カロリーについて
ダッシュダイエットでは、1日の摂取カロリーについて推奨量が定義されています。多過ぎても少な過ぎてもいけないということなのだと思われます。
きちんと摂るべきエネルギー量は摂りましょう、といこと。つまり、控えすぎることなく、きちんと食べるべきものは食べましょう、ということなんだと思います。
この表を見ると、ダッシュ食は痩せるための食事法ではありませんが「健康的な食事」として、食事量を減らすのではなく、食事の摂取内容を見直す(改める)食事法としているように思います。
推奨摂取カロリーは決して多くはないですが、逆に厳し過ぎるものでもないように思います。ただ、これまで暴飲暴食をしていた人については、この摂取カロリーでも十分に痩せる効果が得られるのではないかな?と思います。
しかしこの表も、アメリカ人に対しての推奨摂取カロリーになるので、これを日本人がそのままやるとカロリーオーバー気味になるのかな?と思うところもあります。
そこで日本人とアメリカ人の体格差を調べてみようと、平均身長を調べてみました。
この表を見ると日本人の体重はアメリカ人の体重に比べて、男性で80%、女性で73%ほどになります。日本の女性は他国の女性に比べて痩せ型との指摘がありますが、まぁ、これを考慮しても男性女性共に、おおよそ8割くらいまでかな、ということになるかと思います。
これらから、ダッシュ食を実践する際に、推奨摂取カロリー通りにやってみて、もし体重が増加するようならば、摂取量を8割程度に落としてもいいかな?と、思ったりもします。
ダッシュ食の栄養摂取目標
※2100kcal摂取プランの場合
総脂質量:27%、うち、飽和脂肪酸は6%(63g/14g)
タンパク質:18%(95g)
糖質 55%(289g)
コレステロール 150mg
ナトリウム 2300mg(食塩換算5.8g)
カリウム 4700mg
カルシウム 1250mg
マグネシウム 500mg
食物繊維 30g
その摂取目標内容をみてみると、なかなか厳しいものもあります(笑)でも最初から完璧に守れないから出来ない、というのではなく、守れるものからやっていこう!でいいのではないかなと思います。
この摂取量を見ると、決して低い栄養摂取量ではないことが解ります。活動量の低い方や運動習慣が全くない場合だと、この量を食べていたら太ると思います。なので、しっかり食べながらも、適度な活動量の確保も必要なのではないかなと思います。
またナトリウムについてはより低い値での摂取が効果的だということが解っていますが、ナトリウム2300mg(食塩に換算して5.8g)でも、実際やってみるとなかなか大変なことが解ります。(カップラーメン1個で5.8g位ありますので)
なので最初は無理をせず、5.8g+αくらいから始めてもいいかな?と思います。
ダッシュ食で目標とする血圧
正常:120mmHg/80mmHg
高血圧症予備軍:上(収縮期血圧)120-139mmHg、下(拡張期血圧)80-89mmHg
高血圧症:上140mmHg以上、下90mmHg以上
と、以上のようにダッシュ食ガイドラインでは推奨されています。日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」でも、正常範囲は120-80mmHg(診察室血圧)と、同様になっています。
本来ダッシュ食は高血圧を予防するための食事法として考えられたものですので、ナトリウム摂取について厳しいのは、血圧がこれらの正常範囲に収まることを目標としているからだと思われます。
ダッシュ食で食べるべきもの
DASH食では1日に食べる推奨摂取食品と量があります。特別な食品は必要はしていませんが、たんぱく質、糖質、脂質(PCF)の目標摂取割合が決められています。(18%:55%:27%)それらをクリアしつつ、下記の食品を摂取するように勧めています。
食べるべきもの
1)全粒穀物
2)野菜
3)果物
4)無脂肪または低脂肪乳製品
5)魚、家禽
6)豆、ナッツ、
7)砂糖及び糖類
逆に避けるべきもの
1)脂肪質の肉、全脂肪乳製品、ココナッツ、パーム核、パーム油など、飽和脂肪酸の多い食品を避ける
2)砂糖入り飲料やお菓子を避ける
※上記表は2000kcalの推奨量になります。
各摂取カロリー別の各摂取食品の1日あたりの摂取量については、上記のようになります。
ここでは2000kcalの摂取量を紹介したいと思います。
Grains , DailyServings 6- 8
1 slice bread
1 oz dry cereal
1/2 cup cooked rice, pasta, or cereal
「6-8」という単位は1日に摂るべき量を示しており、1単位で表記されている食材については、その1単位をサービングサイズという表現を用いています。
上記を日本語に訳すと
「推奨摂取量(1日)全粒穀類 6-8単位」
その6-8単位摂るための「1単位」は、
「全粒粉のスライスパン 1枚」
「1オンス(約30cc)の乾燥シリアル」
「1/2カップの調理された玄米、パスタ、シリアル」
となり、これらの量を1単位として、1日に6~8単位摂りましょうということになります。しかし、これだけだと、なかなかちんぷんかんぷんですよね(笑)
そこで調べてみると、ここでいう1カップはアメリカ規格の1カップを意味しており、その量は「1cup=237mL(約240mL)」になります。
また「パン1枚」はアメリカで市販されている日本より小さなサイズの食パン1枚を示すだろうということ。
「1オンスの乾燥シリアル」は、30cc量に相当する調理前のシリアル(オートミールやフルーツを除いたミューズリー)だということ。
「1/2カップの調理された玄米、パスタ、シリアル」は、炊いた玄米、茹でたパスタ、ふやかしたオートミール等を指すだろうと思われます。(もし間違っていたらごめんなさい)パスタについても、ここでは全粒粉パスタを意味するのかな?と思っています。
またシリアルについても、日本で多く取り扱われている甘いコーンフレークなどのシリアルではなく、胚芽や押し麦などを使った物を意味しています。
アメリカの市販の食パンは日本のものより小ぶり
アメリカで一般的に市販されている食パン1枚は日本の市販のものより小ぶりになります。一般的には1袋約600gのもので、16枚前後の枚数でカットされており、1枚当たり40-43g位になります。
一方、日本では1斤(きん)という単位で食パンが市販されていますが、その1斤は340g以上で12.5cm角のものを市販の規格としています。しかし本来の1斤は600gなのに(アメリカの食パン1袋のサイズが実は1斤にあたります)、パン業界ではこの単位が使われている様です。5枚切りの食パン1枚当たりのグラム数は単純計算で約68g、6枚切りの食パンでも約57gほどになります。
5枚切りで比較すると、日本の食パン1枚は、アメリカの食パン1枚より、1.5倍くらい量が多いことになります。「1スライス」でも規格が違うとずいぶん摂取量が変わってしまいます。(当然糖質量も変わってきます)
ですので、ダッシュ食の換算表通りに1日に日本の食パンを6枚も食べていると、摂取オーバーになってしまいますので、注意が必要です。
野菜と果物は加工精度の低いものを推奨
野菜、1日の摂取量 4-5単位
生の葉野菜 1カップ
調理した野菜、葉野菜以外の生野菜 1/2カップ
野菜ジュース 3/4カップ
フルーツ、1日の摂取量 4-5単位
(1単位当たりの摂取量)
りんご、バナナ、オレンジ、梨 各中1個
缶入りフルーツ 1/2カップ
フルーツジュース 3/4カップ
野菜は葉野菜(キャベツやレタスなど生食出来る葉野菜)は根菜などに比べると糖質が低いので1カップにしているのかな?と。
根菜類やトマトなどは糖質がそこそこ含まれるので、1/2カップ換算としているのではないかな?と思っています。
果物についても中サイズとありますが、日本の果物は海外の果物に比べると品種改良され大変糖度の高いものが多くなっています。
なので、日本産の果物を大人の握りこぶしサイズのものを1個・1本食べるとなると、リンゴや梨、オレンジやバナナは結構な糖質量がありますので、小サイズが適当ではないかと思います。
もし握りこぶしサイズのものを食べるなら、1/2個(半分)が1単位に相当するのではないでしょうか?
また野菜ジュースやフルーツジュースは、自宅で果物や野菜をジューサーで作る場合であれば、3/4カップ(180ml相当)飲んでも大丈夫だと思いますが、市販の濃縮還元されたものや、砂糖やブドウ果糖液糖が添加されているものはかなり糖質が高くなっていますので、出来れば避けるのがベターではないかと思います。
乳製品は無脂肪または低脂肪推奨
乳製品 1日の摂取量 2-3単位
(1単位当たりの摂取量)
牛乳、ヨーグルト 1カップ(約240ml程度)
ナチュラルチーズ(チェダーチーズなど)1と1/2 oz (43 g)
プロセス・チーズ(アメリカンチーズなど)2 oz (57 g)
乳製品は無脂肪、または低脂肪のものを摂るように推奨されています。ヨーグルトは無糖のもので。
カルシウム摂取量も1日1250mg(2100kcal摂取の場合)を推奨されていますから、手軽にカルシウム摂取できる牛乳は取り入れやすい食品だといえます。1カップ(約240ml)でカルシウム約260mg相当になります。
肉魚類は脂肪の少ないものを選んで
肉魚類 1日の摂取量 6単位以下
(1単位当たりの摂取量)
調理肉、調理魚 1 oz
卵 1個
ダッシュ食では飽和脂肪酸を出来るだけ控えるように推奨されていますので、肉類は赤身のもの、またはチキンなどのホワイトミートを中心に。
また食事全体の脂質量も制限されていますので、脂の乗った魚よりは白身などのあっさりした魚を中心に。また、コレステロール量が制限されているので、卵も1日1個以下が適量かと思います。
しかし、摂らなければいけないたんぱく質量もクリアしなくてはいけませんから、肉魚卵の摂取割合は、個人の食事スタイルに合わせて柔軟に決めて摂取していくのが良いかな?と思っています。
ナッツは週単位量で表記されています
豆、ナッツ類 1週間単位での摂取量 4-5単位
(1単位当たりの摂取量)
1/3カップ ナッツ類
大さじ2 ピーナッツバター
大さじ2 調理された豆類
ナッツは脂溶性ビタミンを多く含んでいます。しかし、脂質量をオーバーしないように摂取しなくてはいけませんので、食べ過ぎには注意が必要です。
脂質は飽和脂肪酸を控えめに
オイル類 1日の摂取量 2-3単位
(1単位当たりの摂取量)
小さじ1 マーガリン
小さじ1 植物性オイル
大さじ1 マヨネーズ
大さじ2 サラダドレッシング
1日の脂質のトータル摂取量は、総摂取カロリーの27%、そのうち飽和脂肪酸は6%となっています。
(2100kcal摂取プランの場合で、総摂取量63g/うち飽和脂肪酸は14g)
飽和脂肪酸は肉や魚、乳製品に含まれてきますので、オイルとして摂取するのは不飽和脂肪酸である、植物性オイルになってきます。その場合、出来るだけ高品質なものを選ぶようにし、トランス脂肪酸などを避けるようにします。
ここでは「マーガリン」とありますが、アメリカでは早い時期からトランス脂肪酸の使用を禁止しています。しかし、日本ではまだ規制されておりませんので、ここでいうマーガリンは使わないようにすることが望ましいでしょう。
砂糖類は控えめに
砂糖及び糖類 1週間単位での摂取量 5単位以下
(1単位当たりの摂取量)
大さじ1 砂糖
大さじ1 ジャム
1/2カップ ソルベ、ゼリー
1カップ レモネード
ダッシュの食事プランでは、穀類や乳製品、野菜や果物からの糖質とは別に、砂糖単独としての摂取量をあげています。その為、1週間での量が上記のようになっています。
ダッシュ食の内容についての個人的感想
上記、少し長くなりましたが、私なりに理解したその内容をご紹介させて頂きました。私は糖質制限を長くやっていた経験があるので、糖質やたんぱく質、脂質量を計算しながら(アバウトではありますが)食事する習慣がありますが、その習慣がない方にとっては、指定された食材を摂りながら、計算もしなければならない、というのはちょっと面倒に思うかもしれません。
また、コレステロールやナトリウムにも制限があるので、更にそれをクリアしていくとなると「あれもこれも食べられない!」とより一層高いハードルのように感じてしまうでしょう。
しかし、日本人よりアバウトな性格?(ごめんなさい、私の個人的な印象です💦)といわれるアメリカ人に長く支持されている食事法ですから、計算が面倒ではあるけども、多くの人に支持されるその理由が何か絶対にあるはず、と考えます。
「得られる効果が高いから几帳面に真面目にコツコツやっている?」…いやそれはないかも(笑)
「計算するのが面倒だから、ミールキットみたいなものを買ってそれだけを食べている?」…実際に売られてそうではあるが、費用が高くなると万人受けは難しそう。ダッシュは自炊しないとなかなか難しい部分もあるし。
そうなると考えられるのは「自分なりにそれぞれアレンジしている」のでは?ということです。
指定された食材を食べることはそんなに難しく無いはずで、買い置きも可能な普段スーパーで手に入る食材が中心です。(日本では全粒粉製品がちょっと手に入り難いということがありますが)特別な肉や野菜類を買わないといけない訳ではありません。問題はその摂取量ですから、あまりきっちり量を守るというルールを課せずに、アバウトで目安として考え、1日の量にこだわらずに、1週間単位などでおおよその量でやっているのではないかな?と推測しています。
そしてそう考えた私自身も「1週間の中で調整(増減)すればいいや」と気楽に考えてみることにしました。
そうするとずいぶん楽に食事が摂れるようになった気がします。当然守れない週もありますが、厳しく「出来た・出来なかった」と一喜一憂するのではなく「また来週、調整に成功出来ればいいや」くらいの気持ちで取り組んでいます。楽しく長く続けなければ、食事法を実践していく意味がありません。
「絶対に何キロまで痩せなければならない」という方にはダッシュ食は不向きかもしれません。しかし、細く長く健康を維持するための食事法としては、ダッシュは最適な食事ではないかなと、今現在ところ、私の中では一押しの食事法だと考えています。